Nishika AI News Letter - Issue #7
Summary
いつもと違ってライトな話題から入ろうということで、AI自動作曲ツールのニュースを取り上げました。AIというとどうしてもBiz側での活用例が多いですが、このように個人が使うようなツールにAIが組み込まれて使い勝手が大きく変わるのは素晴らしいですね。
Biz側的ニュースで注目したいのは、中国や欧米でのレコメンデーションアルゴリズムに対する規制の動き。SNS中毒、フェイクニュースの拡散、個人情報スレスレの情報を使った行き過ぎたパーソナライズなど、レコメンデーションアルゴリズムによる問題は多く顕在化しています。一方で事業者からすれば、得られる効果が大きいからアルゴリズムの性能を躍起になって高めている事情もあるわけで、その動きがどの程度強力に規制されるのか、規制に実効性はあるのか、注視したいところです。(M)
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Application
AI自動作曲もできる初心者向けDAW、Music Maker 2022 Premiumが発売
自動作曲できるDAW(Digital Audio Workstation)、つまり作曲ツールの発売のニュース。作曲のハードルがAIの力で下がっており、個人的にも聴き専からの脱却を目指そうと感じるくらい、簡単に作成できる様子が公開されています。その方法は、49種類のテンプレートからポップス/ヒップポップといったジャンルを選択した後、使いたいループ音源素材集を指定しボタンを押すだけ。こちらの動画で聴ける曲は確かにかなり自然な感じに仕上がっています。
国家互联网信息办公室关于《互联网信息服务算法推荐管理规定(征求意见稿)》
中国のインターネット規制機関(CAC)が、偽情報を広めたり、中毒性のある行動を助長するようなレコメンデーションアルゴリズムの取り締まりに向けて動き出しました。所謂パブリックコメントを行なっている段階で、いつから規則を発効するかは未定ですが、現時点の案では、プラットフォーマーは、アルゴリズムの動作原理をユーザーに説明したり、ユーザーが自動推薦機能を無効化できるようにするなどが求められるとのこと。このような動きは欧州、米国でも見られます。
米国の2000以上の高齢者施設では、VirtualSense Balanceという診断システムを用いて、転倒の原因となり得る姿勢や動作を発見している。歩行速度や膝の角度、一歩の長さなどを患者の年齢層の標準値と比較し、転倒リスクスコアを算出、アドバイスを介護者に提供している。
全ての高齢者に手厚い介護を提供できるのがベストとはいえ、それが現実的ではない中で、高齢者の状況に合った介護の提供を支援する仕組みは非常に有用だと感じます。
Technology
自動運転車セキュリティ入門 第5回:意思決定モデルに対する敵対的攻撃 - 汚染攻撃 -
AI意思決定モデルに対する敵対的攻撃の解説。汚染攻撃(モデルが判断を誤るように巧妙に作成されたデータを大量に投入、学習させて誤分類に誘導)の例がいくつか紹介されていますが、誤分類のトリガーを光の反射を模した自然な形で埋め込むなど、多様な攻撃方法が存在することに驚かされます。
とはいえ、このような脅威は非常に些細なものも含めればゼロになることはないので、現実に起こり得るレベルのトリガーなのか、研究をモチベーションに相当手の込んだ形で作成したレベルのトリガーなのか、しっかり見極める必要があると感じます。
Editor Picks
イエール大・成田悠輔助教授「選挙も政治家も、本当に必要ですか」
「人間が意識的に意見を形成しようとすると、周りの声や一時の情動、情報などに簡単に流されてしまう」ことから、選挙というお祭り的イベントで民主主義を運用するのではなく、センサーデータを使って日常的な意見を政策に反映すべきだという意見。データ駆動の政策意思決定の最たる形という感じで、ちょっと恐ろしくもありますが興味深いです。