Nishika AI News Letter - Issue #62
AIのソフトウェアエンジニア, Devinが注目を集めています。まだ一般利用はできず動画のみの告知なので冷静に見るべきですが、ソフトウェアエンジニアという仕事を本当に代替してしまうのでは、と言われています。
もちろんエンジニア目線では大事なのですが、仕事が代替されるという以上の影響に注目したいところです。プロダクトの構想力と要件定義力があれば、自然言語で指示を与えれば誰でもソフトウェアを作ることができるとすれば、これまで以上に「如何に刺さるプロダクトを着想し言語化できるか」の競争が熾烈になっていきます。
一方で私は「エンジニアだから良いプロダクトを作れる」側面もまだまだあると思っています。AIに指示を出すにせよ、ソフトウェアがどんなことができるのかの手札を知っていないと、通り一遍の指示しかできずイマイチ魅力のないプロダクトが出来上がってしまいます。
自分がエンジニアであろうとそうでなかろうと、「今の技術を使ったらこんなことができるのでは」という可能性を常に学んだり、自分で捻り出したりすることが重要だと強く思う日々です。
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Application
Devin, the first AI software engineer
3/12にCognition社から発表されたのが、AIのソフトウェアエンジニア、Devin。本当にソフトウェアエンジニアの仕事を代替してしまうのではないかと、大きな注目を集めています。
まだ一般利用はできず、動画のみの告知なので安易に評価はできないが(昨今の生成AI界隈では重要な姿勢)、これまでの生成AIによるプログラミングと異なり実行結果について自らバグを見つけ、修正するところまで自律的に行ってくれるのがポイント。
ところで、実際にアプリケーションを動かそうと思うとどこかのインフラ(クラウド環境など)にデプロイする必要があり、アカウントの開設なども含めて今は結構な手作業が発生します。これがソフトウェア開発の完全自動化の障壁になると個人的に思うのですが、逆に言えば自律的で優秀なソフトウェアエンジニアAIと連携したインフラが、インフラとしての覇権を握る可能性があるとも思います。
12TBメモリを搭載した5兆パラメータLLM推論システムSN40Lが今すぐ使える
最大6個のオープンソースLLMへの質問が同時にでき、ものすごいスピードで回答が返ってくるシステム。これがオンプレで使えるということで、オンプレでのLLM開発が加速しそう。
アップル、 iPhoneへのグーグルAI「Gemini 」搭載で交渉中-関係者
Geminiサイドから見れば圧倒的なデータ入力ソースを手に入れることになるのでこの上ない相手。
Appleサイドが自前でLLMを開発して行く気がないとしたら、合意までいきそうな気がします。
「いずれスマートフォンのアプリは消える」の体験を実現したAIスマホのデモの話。
AIがアプリをよしなに選んでくれる体験は確かに楽ですが、アプリ間の競争があるからこそアプリの体験も改善されていくので、アプリが全くない世界はむしろ悪い側面もあると思います。
さらに言えば、AIがよしなにアプリを選んでくれるということはAIがアプリを比較検討した上で選定しているわけなので、「いずれスマートフォンのアプリは消える」が実現したとしても、ユーザーの見える場所から消えるというだけで、AIが見ている場所でアプリ同士が競争していく世界なのかと思います。
Technology
ヒンディー語などローカル言語でGPT‐4を上回る大規模言語モデル開発へ、活発化するインドでの生成AI開発の取り組み
本記事に書かれている主張が本当だとして、
「2兆トークンものローカル言語データで学習して初めて、GPT-3.5の英語パフォーマンス相当に達する」
という事実が、やはり途方もないなと思います。
国策あるいは極端な資金源がなければ、利用可能な水準のローカルLLMにはならないのかと思います。
Editor Picks
【独自】OpenAI、次世代AIモデル「GPT-5」の今夏発表を計画。顕著な性能向上と関係者
OpenAIの凄かったところは、リーク情報が出る前にサービスをリリースして、扇情的な動画で期待を煽るのではなく実際に手で動かさせて驚きを与えるところだったので、Claude3の登場などで数ヶ月先の情報を出さざるを得ない状況に追い込まれたんだなあ、と見えます。もちろん、健全な競争が行われている市場では当たり前の話で、これまでのOpenAIがむしろ異常だったと言えます。