Nishika AI News Letter - Issue #59
弊社がAIプロダクトSecureMemo/SecureMemoCloudを通じて目指す、「会議が全てデータ化された世界」で生成AIが活躍する世界観を描きました。適当にAIにお願いすれば後はよしなにやってくれる世界はまだ訪れていないのですが(なので我々のようなプレイヤーが力を尽くす意味がある)、一方で音声認識AIや生成AIといった各要素技術は、組み合わせれば実用レベルの使い方が生み出せる段階まできています。
と、いう話はこれまでも何度もしてきたところで、お話はそろそろ十分、とにかくみなさんの手に届くアプリケーションを作るところを急ぐのみです。
気になるトピックは生成AIでデザインしたドレスが炎上しているという話。もちろん業務は圧倒的に効率化するのですが、服職人を支援するというブランドストーリーに反する点が反発を受けてしまいました。特にアパレルはブランドストーリーが重要なところで、業務効率化の要請との兼ね合いで経営判断が難しいだろうなと思います。
我々のAIプロダクトの成果物である議事録でも、AIが自動作成した後に「ちゃんと人が見たのか」を問われることがあります。ハンドメイド・クラフトものに価値を感じることがありますが、人の温もり・労力が感じられるものはビジネスの現場でも価値を感じさせるのは同じ(たとえAIが全く同じクオリティだったとしても)。
AIが当たり前に民主化された後は、如何に人の労力がかかっているか(労力がかかっていると感じさせるか)がより値段に影響しそうです。
Promotion
SecureMemoCloudは、オンプレミスAIソフトウェア SecureMemoに続きご提供を開始した、世界最高水準の文字起こしAIを搭載した会議録作成支援サービスです。
単なるSecureMemoのクラウド移植版ではなく、会議録の特性に特化したAI要約機能も付加している点も特徴です。
現在β版であり、無償でお試しいただけますので、是非その精度を体感ください!
SecureMemoは、世界最高水準の精度94.7%のAIを搭載しつつ、オフライン環境で処理が完結するAI文字起こしソフトウェアです。
「精度の圧倒的な高さ」「オフライン完結」の2つを両立しているサービスは他になく、警察・医療機関・民間企業の経営企画/IR/人事部門様といった皆様にお使いいただいています。
音声認識AIとしてOpenAI Whisperを搭載、オリジナルWhisper由来の課題を解決すべく独自チューニングを行い、実用可能な水準に改善を行った上でご提供しています。
さらに、独自開発した完全自動の話者特定AIも搭載しています。
Application
NishikaがAIプロダクトSecureMemo/SecureMemoCloudを通じて目指す世界観を書きました!
会議を終ろうとしたら「ちょっと待ってください。まだはっきり決定事項の合意が取れてませんよ」とAIが注意してくる未来、私は結構好きです。
DeepLも登場当時は驚きを持って迎えられましたが、今やChatGPTを使う方が、文脈によって異なる翻訳を与えてくれるのでより自然である、と言われることも多いです。
そんな中の本記事で、DeepLとChatGPTの差別化ポイントは何なのかという観点で注目しました。
「DeepLにはハルシネーションがないのが強み」とのことですが、文脈に応じた翻訳をしてくれないというDeepLの特徴はハルシネーションと薄皮一枚の差のような気もします。
【AI革命】GPT-5、新世代AIの幕開け。サム・アルトマンが明かす
サム・アルトマンが語る今後の展望。
GPT-5は単にモダリティが増えるだけでなく「賢くなる」という予測。また、RAG(検索により強化された文章生成)、音声のリアルタイム性も今年改善されることを示唆した。
と記事中にありますが、この中では「単にモダリティが増える」が一番すごいことで、期待が膨らみます。
画像や音声とテキストを合わせて処理できるようになったら、GPTに任せられる作業の幅が格段に広がります。
Technology
Don't Hallucinate, Abstain: Identifying LLM Knowledge Gaps via Multi-LLM Collaboration
LLMが知識不足のときに自分で判断して回答を控えさせる方法。複数のモデルで討議して意見が一致しないときに回答を控えるといった仕組みで、実験により有効性が確認されています。
同じプロンプトの内容でもフォーマットが違うだけで正確性に76%もの差が出るとの報告。
大文字/小文字やセパレーターの違いでここまで差が出るというのはさすがに人間が直感的に理解できる範囲を超えていて、闇雲に試すしかないかと途方に暮れますが、これだけ差が出るとなるとプロダクトに載せる際に比較検討しないわけには行きません。とはいえ、何が有効な変更なのか人間が試すのも非効率なので、その辺も別の役割を持たせたLLMにたくさん試行・判断させたくなるところです。
Editor Picks
一瞬「まだそんなこと議論してるの?」と思うような記事タイトル。
ただ、「セルキーはブランドとして、環境フットプリントの削減と服を作る職人の支援を重視していると主張してきた。」というのを見ると意見が変わりました。
ブランドストーリーの堅持と費用対効果向上の努力はどちらも重要な話で(AIを使った方が絶対に費用対効果は良い)、経営目線では理解できる判断だとも思います。