Nishika AI News Letter - Issue #30
Summary
ワールドカップが終了しましたね。サッカーの祭典であると同時にテクノロジーの品評会とも言える大会だったと思いますが、テクノロジーの導入によって人間の見せる非合理的なジャッジが一層際立つような印象で、まさに導入過渡期という感想を持ちました。
さて、今週のLetterではワールドカップのオフサイド判定に使われるVARテクノロジーでもAIが使われているというトピックや、Whisper, ChatGPTといった直近発表されたファウンデーションモデルを組み合わせYouTube動画について完全自動で要約を生成する事例を取り上げています。
また、Slackの絵文字suggestに疑問を持ち、リバースエンジニアリングしてみたという遊び心のある取り組みもpickしてみました。データがあるところであれば、あらゆるものが機械学習のお題になるというのがとても面白いところです。(M)
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Application
Semi-automated offside technology to be used at FIFA World Cup 2022™
ワールドカップでオフサイド判定に使われているVARテクノロジーの解説。12台のカメラが試合を撮影、1秒に50回画像を送信。ボールと選手の位置を認識、選手の骨格情報を機械学習モデルで推定し、オフサイドを判定。
Alexaの子供向け物語を生成する新機能、Create with Alexa。設定や主人公等のプロンプトを与えると、数行のテキストを5つのシーンに分割して生成。
生成系のAIは正確性や揺れのなさが求められる用途での応用が難しいが、子供向けの物語生成は正確性が重要でないという意味で良い用途。
「AIがホイールをデザイン?」アウディのデザイン部門が積極的に推し進めるAIによる開発の狙い
Stable Diffusionなどの画像生成技術が話題だが、Audi社はホイールデザインの初期デザイン案として生成系AIを活用している。
ChatGPTでYouTubeの動画の要約を作成することができるChrome拡張機能が公開。OpenAI WhisperでSpeech2Textし、ChatGPTで要約を生成。
ZOZOが「似合う」を科学的に解明するための実店舗を出店。例えば同じ服を被験者AとBに着てもらい、一部を隠す/隠さない画像で評価がどう変わるかをもとに、髪形や表情や体形など、『似合う』という感覚に何が影響を及ぼしているのかの定量化を目指す。
AIが工場の設計図を読み込むと、排出量が最小になる工作機械の配置などを示すソフトウェアをリリース。その後、材料の使用量などのデータを入力するだけで製品別の排出量を算出できる。
Apple Scales Back Self-Driving Car and Delays Debut Until 2026
Appleは完全自動運転車を2025年に販売する計画を下方修正。高速道路でのみ自律走行する半自動走行システムを前提に、2026年の販売を予定。Ford, VWによる自動運転プロジェクトArgoもshutdown, Teslaも完全自動とまではいかず。
Technology
Slackの絵文字サジェストを機械学習でリバースエンジニアリング ~文字同士のマッチングの学習と高速化~
Slackの絵文字suggestで、minorと入力したら"バドミントン🏸"が出る、何でだ?というのをきっかけに、ブラックボックスの入出力システムをリバースエンジニアリング的に再現してみた、という話。実用的な話ではないですが、こういう日常のシンプルな問題を機械学習タスクに落とし込める会社はとても技術力が高いと感じます。