Nishika AI News Letter - Issue #29
Summary
人間の質問に対して、非常に自然な言語で回答してくれるChatGPTが話題です。AIとしての圧倒的な性能もさることながら、日本語対応、またチャットという親しみやすいUXの形を提供したことで、非エンジニア含めた層に刺さっているのがこれまでとの大きな違いに見えます。
ところで、AIが学習データとしているのはWeb上に大量に存在するテキストデータたちです。AIによるテキスト生成が常態化し、AIが生成したテキストデータで学習するAIができて、そのAIが生成するテキストデータができて・・・というループになった世界が到来したら果たしてどうなるのか。人間はどんなところに役割を見出せば良いのか。
所謂AIが過学習しているような状態になるので、従来の枠に捉われない尖ったアウトプットを出せる人が、より価値を認められる世界になる気もします。(M)
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自然な文章で回答してくれるチャットボットAI「ChatGPT」が公開、直接“取材”してみた
OpenAIにより発表されたChatGPTが話題。人間の質問に対して、非常に自然な言語で回答してくれる(日本語にも対応)。新規登録が殺到し、本記事執筆時点で新規登録を停止する状況に。
要件を伝えてプログラムを書いてもらう例:https://twitter.com/itohiro73/status/1598994604912939009
小説を書いてもらう例:
https://twitter.com/kajikent/status/1598694158029373440
ちょっとした作業を自動化する例:
https://twitter.com/MoyuruAizawa/status/1598655810288041984
最後の例のように、質問者の多いQに対してのAの精度は文句のつけようがない。一方でニッチなQに対しては、より上段の一般的なAで対応しているように見える。
とは言え、知識のアウトソースが別次元で可能な世界に突入した、と言える!
ワークマン「Excel経営」が超進化!次のデータ分析ツールに選んだのは?
Excel経営で著名だったワークマンだが、今やPythonとAWSを活用しデータサイエンティストを内製化。
以下は現実的なAI導入のステップとして参考になる。
> 店舗に需要予測を導入する際は、賛成の店とそうでない店に分け、前者から始めたという。反対意見を汲んでシステムを組むとお金がかかるし、賛成の店から始めて成果が出れば、加盟店同士のつながりから自然と広まっていく
Excelでできないことを体感させてPythonに手を出させる、は一見かったるいようだが、結果的にAI導入が早まることを体現。
DreamUp | Create AI-Generated Art, Safely and Fairly
AI画像生成をアーティストの模倣を阻止する目的で使用。
アートのマーケットプレイスDeviantArtにて、Stable Diffusionを使い"in the style of ____"のようなプロンプトにより生成された画像について、その出力に影響を与えたアーティストのクレジットを義務付けるルールを課している。
がんの診断に画像診断AIを活用する取り組みは古くて新しい取り組みと言えるが、現在地はどこまで来ているのかを述べた記事。
富士通は膵臓がんのCT画像に対するAIの診断で、9割の検知精度を達成。11人の患者で調べているということで信頼性は十分とは言えないが、見落としによって被る損害を考えると、とても重要な一歩。
専門医を上回るAIを開発する動きも進む。台湾大学は、ステージ1にあたる2センチメートル未満の膵臓がんを75%の精度で見つけるAIを開発したと論文発表。専門医でも発見できるのは6割といわれるが、それを上回る水準。
機械学習の階層モデルの適用でコールドスタート問題に対処する 〜 広告コンバージョン予測の事例
新規広告のCV予測の精度向のため、広告カテゴリ / 広告主 / キャンペーン種別などの広告の階層性を活用した事例の紹介。階層性を活用してCVRを2.0%向上。
Technology
Why do tree-based models still outperform deep learning on typical tabular data?
45の表形式タスクに対してニューラルネットワークと木系モデルのいずれが優れているか、何のパラメータでその優劣が変化するかを検証。(割と自明ながら)多くのタスクで木系が20-30%優れた性能を示し、一方で、例えばラベルの平滑化による木系の性能劣化がより大きかった。
Editor Picks
ワシントンDCの政府機関がいくつのAIアルゴリズムを利用しているかの調査結果。著者が見つけた限りで29個。少年犯罪者が新たに犯罪を犯す可能性を推定するモデルや、銃声の発生源を特定するShotSpotterなど。
翻って日本の政府機関のAI導入状況はどうでしょうか。AIを入れていれば良いというわけでは全くないですが、導入すべき業務の列挙くらいは着手されているでしょうか。