Nishika AI News Letter - Issue #27
Summary
バイデン政権が高性能チップやチップ製造装置を中国に販売することを禁止する方針を打ち出したそうです。もし実態としてもそうなれば局所的な高性能チップ不足が起こり得、技術的にはスモールデータで/CPUで高効率に学習できる手法を発展させる動きを加速させそうです。ウクライナ戦争でもOSINTの存在が従来隠し通せていた不都合な真実を詳にしていますが、政治と技術は遠いようで切り離せるものではないなと感じます。
今回は日本のAI活用事例もいくつか取り上げています。健康状態をスコア化、余命を推計するエムスリーの取り組みは、課題先進国日本らしい取り組みで良いなと感じます。中でどういう分析をしているのか気になるところです。サントリーの嗜好品の需要予測精度を高めた事例は、予測精度向上・業務効率化の改善効果が定量的に示されており、追随する企業の指針となるとても良い情報発信ではないかと思います。(M)
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Application
Ukraine's Crop Storage Infrastructure: Post-Invasion Impact Assessment
ウクライナ戦争で失われた穀物貯蔵能力をYOLOv5で検出。Google Earthの画像から穀物貯蔵施設を検出することで判定。
ウクライナ全体の約15%に相当する307万トンが失われたとのこと。そして戦争がまだ終わっていないのが辛いところ。
Hidden Workers: Untapped Talent
アクセンチュアとハーバード大学が行った2021年の調査によると、米英独企業の63%(Fortune500のほとんどを含む)は候補者募集や応募書類審査に自動化システムを使用。しかし、利用が進んでいるが故に"差別"と見なされるような特性が明らかとなり厳しい目で見られている。
例えばある動画面接の評価AIは、求職者が眼鏡をかけているか、ヘッドスカーフをつけているか、背景に本棚を表示しているかで採点に差が出ている(記事)。
健康状態をスコア化、余命を推計。医学論文を機械学習で分析、アルゴリズム化したとのことだが、具体的にどういう分析がされたのか気になるところ。ビジネスとしては健康保険組合、医療機関、生命保険会社などの新サービス開発に提供していくとのこと。
嗜好品のウイスキーなどの需要予測精度を最大2倍向上。予測の"ブレ率"(おそらく誤差率)を5%以下、予測業務にかかる時間を従来比2割、年6000時間削減したという定量的な改善効果が示されている。
時系列の出荷量、容量、アルコール度数、酒類分類といった商品データのほか、祝日日数や季節指数、商品ごとのテレビCMの金額、在庫数、スーパーやコンビニなど業態別の出荷動向を機械学習させたとのこと。
文字起こしAIサービスの比較。文字起こしAIは技術的にまさに発展中であり、OpenAI Whisperなどオープンソースでも利用できるものも出てきている。個人的には単一話者の文字起こしは相当な精度になっていて、話者分離は実用水準まではなかなか難しい印象。
Technology
Google、AIで解像度が高い動画生成 1000言語の翻訳も
高解像度の高い動画をテキストから生成する技術を発表。具体的には「木の枝に引っかかった風船」「カメラを木から動物園の入り口に振る」などのpromptから生成した一続きの動画が発表されている。高解像度の動画を生成するImagen Videoと、一貫性のある動画を生成するPhenakiを組み合わせて実現。
Editor Picks
Choking Off China’s Access to the Future of AI
バイデン政権が高性能チップやチップ製造装置を中国に販売することを禁止。総数としてはチップは足りているのに局所的には不足という事態が発生する可能性。その場合、技術的にはスモールデータで/CPUで高効率に学習できる手法が注目・発展していきそう。
Hidden Workers: Untapped Talent
AI投資は冬の時代だが、AI生成への投資は春の時代。Stable Diffusionを開発したStability AIは1億ドル以上を調達。コピーライティングを自動生成するJasperは1.25億ドル以上の調達など。